医者に聞いた、「妊娠したら猫は飼ってはいけない」はウソな理由
うちの父親は80手前で考え方も知識も昭和の人間。
そんな父に妻の妊娠発覚後しばらくして言われたのがこんな言葉。
もしかしたら僕と同じような経験をされたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。
比較的高齢の方だと、こんな事を言われる方がいるようです。
しかし心配ご無用。先に結論を言っちゃいますが
「安心して下さい!!妊娠しても猫と一緒に生活して大丈夫ですよ!!」
んーなんか最近見ないですね、あの方(笑)
何故妊娠しても猫と一緒に生活して大丈夫なのか?大丈夫だとは思っていましたが、先日ペンネの予防接種の際にお医者さんに聞いてみました。
もちろん注意していただきたい事もあるのでこれから順にご説明しますね。
なぜ妊婦は猫と一緒に生活したらダメなのか?
今回の主役は寄生虫の"トキソプラズマ“です。
人間がトキソプラズマに感染すると、トキソプラズマ症を発症します。
通常、健康な成人だと軽い風邪のような症状が出る事もありますが、ほとんどの場合無症状で感染した事にさえ気づきません。
しかし、妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると思いもよらない危険性があります。
妊娠中のトキソプラズマ感染の危険性
通常はほとんど問題のないトキソプラズマ感染ですが、妊娠中だと話は別です。
妊娠中、もしくは妊娠直前にトキソプラズマに感染した場合、母体だけでなく胎児にまで感染してしまう先天性トキソプラズマ症になる可能性があります。
先天性トキソプラズマ症の症状としては、流産や死産の原因になったり、水頭症、網脈絡膜炎等脳や目に障害が出たり、黄疸や肝臓の腫れなどの症状が出る場合もあります。
さらに、無事に生まれてきたとしても油断は禁物。見た目は何の症状もない赤ちゃんでも、成長に従って何らかの症状が出てくるケースもあります。
トキソプラズマ症の感染経路
このように、妊娠中には十分な注意が必要なトキソプラズマは、以下のような経路で感染します。
胎内感染
赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる状態で母体を通じて感染します。
(先天性トキソプラズマ症)
妊娠6カ月以前にトキソプラズマに感染した事のある方は、抗体があるので問題ありません。
食べ物からの経口感染
生肉や、よく加熱のされていない肉類を食べた時肉に生きたトキソプラズマが付着している場合があります。
例えば
- 生ハム・生ベーコン・生サラミ等の加工食品
- レアステーキ・ローストビーフ等加熱が十分でないもの
- ユッケ・馬刺し・鳥刺し・鯨刺しといった刺身
肉の種類は問わず、どのような肉でも生食は避け、しっかりと火を通して食べるという事を心がけていれば大丈夫です。
ナチュラルチーズには「リステリア菌」という細菌が含まれているケースがあり、妊婦が感染すると胎児に重大な影響を与える可能性があります。
国産のナチュラルチーズは加熱殺菌が義務付けられているので安心なのですが、輸入物や輸入したチーズを使った加工品には注意が必要です。
ちなみにこの「リステリア菌」生ハムやスモークサーモンにも潜んでいるケースがあるのでご注意を
妊娠中に食べてはいけない・摂取を制限した方が良い食べ物をまとめましたので妊娠中の方はこちらもぜひご覧ください。
畑仕事や庭いじりの際に経口感染
土壌にもトキソプラズマが含まれている事があり、畑仕事やガーデニング作業中に感染するケースがあります。
また、子供と一緒に公園で遊んでいる時、舞い上がった砂埃や子供の手に付着していたものから感染等、十分な注意が必要です。
猫のウンチからの経口感染
実はトキソプラズマに感染した猫のウンチに、トキソプラズマが紛れ込んでいる可能性があります。
厳密に言うと、「オーシスト」というトキソプラズマの卵のようなものがウンチと一緒に排泄される事があります。
これだけを聞くと、
「なんだ、やっぱり妊娠中は猫を飼ってはいけないじゃないか!?」
と、思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そこは心配ご無用。
ちゃんとした理由があるんです。
妊婦が猫と一緒に生活しても大丈夫なワケ
そもそもトキソプラズマの感染は、「生肉等加熱処理不足な食材からの感染」が非常に多く、猫からの感染は少ない部類になります。
それは、猫経由での感染は、様々なハードルをクリアしてやっと発症するレベルであるからです。
あれ、なんだかこの文章だと発病することがレアで良い事みたいに聞こえますね(笑)
もちろん100%大丈夫と言いきれるわけではないですが、1つ目の条件さえクリアできれば発病自体はかなりの確率で抑えられます。
愛猫家がトキソプラズマ感染について注意すること
1:猫が完全室内飼いではない
室内と野外を行き来するような猫は、外でネズミや虫を食べたり、たまたま土壌にいたトキソプラズマを舐めたり等、室内飼いの猫に比べ感染する可能性が飛躍的に上がります。
また、室内飼いの猫が脱走してそのご戻ってきた…というパターンも危険です。念のため、動物病院で確認してもらいましょう。
2:トキソプラズマが付着している可能性のある物を与えない
これは人間と全く同じですね。生肉を食べたら付着していたトキソプラズマが経口感染…と言う事にならないように気をつけましょう。
普段からキャットフードで育っている猫には全く問題はありません。
3:猫が抗体を持っていない(初感染)
子猫や生まれてずっと室内飼いの猫にトキソプラズマは感染します。つまり、抗体を持っていない猫というわけですね。
さらに言うと、一度抗体が出来ると2度と感染しません。
4:オーシストを排出するのは3週間ほど
万が一愛猫がトキソウラズマに感染しても、ウンチにオーシストが排泄されるのは感染後3週間ほどだそうです。
つまり、3週間もたてば体内に抗体が出来るということになります。
猫経由でトキソプラズマに感染するには
さて、これまでの話を踏まえ、猫経由でトキソプラズマ症に感染するには…
- STEP1 愛猫がトキソプラズマに初感染する
- すでに1度感染した事のある猫には抗体があるので大丈夫です。
母体に抗体がある場合も大丈夫。
- STEP2 感染した猫が、ウンチをする
- ただし、3週間以降は猫も抗体が出来るのでトキソプラズマ(オーシスト)を排泄しません
- STEP3 ウンチを24時間以上放置する
- 24時間以内だと、トキソプラズマの卵(オーシスト)は感染能力がありません
- STEP4 発生したオーシストが経口感染する
- 放置したウンチを片づけて手を洗わない…など
と言う、滅茶苦茶高いハードルをクリアしてやっと感染します。
もちろん、猫砂やトイレに付着した少量のウンチからオーシストが残ってしまう可能性も0ではありません。
しかし普通の愛猫家なら毎日トイレは掃除するでしょうし、旦那や他の人にトイレ掃除をお願いすればさらに感染率は下がります。
ポイントは、愛猫を外に出さないこと。これを守れば猫からのトキソプラズマ感染はほぼ防げるかと思います。
まとめ
では、今回のポイントをまとめましょう。
- 妊婦でも、猫と一緒に生活して大丈夫です
- ただし、完全室内飼いで生肉などを与えない事
- トイレ掃除は毎日しっかり。出来れば妊婦以外の人が片付ける
すでに猫を飼っている家庭で、今さら猫を離れ離れになるなんてありえません。
また、昼間一人で心細い思いをしている妊婦さんを癒してくれる猫の存在は意外と大きいもの。
ポイントだけ押さえて、お腹の子供と一緒に可愛がってあげて下さいね。
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